ツール・ド・フランス2020(第107回)まとめ 〜各ステージのダイジェストとともに〜


20/09/2020 – Tour de France 2020 – Etape 21 – Mantes-la-Jolie / Paris Champs-Elysees (122 km) – Tadej POGACAR (UAE TEAM EMIRATES) Vainqueur du Tour de France 2020, Primoz ROGLIC (TEAM JUMBO – VISMA) 2eme et Richie PORTE (TREK – SEGAFREDO) 3eme. © A.S.O./Pauline Ballet

今年のツール・ド・フランス、いかがだったでしょうか?

 

107回目。コロナ禍の中で行われた異例中の異例な状況で、感染と検査脱落のリスクの両面でどうだったんだろうかと。
今年はスロベニア旋風というか、チームおよび本人の実力も圧倒していたログリッチェが(特にステージが進めば進むほど)総合優勝でしょうと想像していた人が大多数の中、同じスロベニアの21歳若きポガチャルが全部ひっくり返して優勝しました。
チームイネオス(旧Sky)は連覇は途絶え常勝軍団ではなくなった(?)のかな。強いのは強いんですけどね。

 

今大会はとりあえず「ポガチャルがすごすぎた」に全て集約されるかと思います。
いろんな流れがあったけど、ステージ20のタイムトライアルがそれら全てを凌駕する内容だったと思います。

 

今回のツール・ド・フランスまとめです。
公式サイトのダイジェストとともに酒のつまみにでもどうぞw


20/09/2020 – Tour de France 2020 – Etape 21 – Mantes-la-Jolie / Paris Champs-Elysees (122 km) – Tadej POGACAR (UAE TEAM EMIRATES), et Sam BENNETT (UAE TEAM EMIRATES) © A.S.O./Alex Broadway

今年はこの2人しか表彰台にあがってない写真があるけど、ポガチャルが3冠(総合優勝、山岳賞、新人賞)のため、2名だけでした。


17/09/2020 – Tour de France 2020 – Etape 18 – Meribel / La Roche-sur-Foron (175 km) – Michal KWIATKOWSKI et Richard CARAPAZ (INEOS GRENADIERS) © A.S.O./Pauline Ballet

今大会の最も美しかったシーンですね。最高のシーンでした。
チームの最大目標がなくなってしまったイネオスの、見たかっ!とでも言わんばかりの成果でしたな。やってやったぞと。


19/09/2020 – Tour de France 2020 – Etape 20 – Lure/ La Planche des Belles Filles (36,2 km CLM) – Le maillot jaune Primoz ROGLIC (TEAM JUMBO – VISMA) lors du contre-la-montre © A.S.O./Pauline Ballet

個人タイムトライアルで失意のログリッチェ。明らかバッド・デイならしょうがない。が、決して悪い走りじゃなかったのが悔やまれますなー。
ログリッチェではなく、ポガチャルが強すぎた。

全体の動画。

 

では、いつもどおりの各ステージを。

[ステージ1] 間隙をついた大ベテランが集団スプリントをアレクサンダー・クリストフが制す
開幕は有力スプリンター勢の中でも全盛期よりパフォーマンスが落ちたよねと思われていた、完全ダークホース、クリストフが仕留めた。

[ステージ2] ラストの2級山岳でアタックして小集団に絞り込んで駆け引きさせる展開はアラフィリップの独壇場 マイヨジョーヌも獲得
前大会を賑わせたジュリップくんことアラフィリップが、早くも動いて仕留め上げたステージ。この勝ち方はいつものアラフィリップ。この展開になったら勝ちよね。

[ステージ3] マリオカートのキラーよろしく大加速でライバルスプリンターごぼう抜き ポケットロケット、カレブ・ユアンが制す
ポケットロケットなんて生ぬるい超加速でかっとんできたユアン。本当最後尾からまくる姿は、マリカーのキラーだったなーと思いました。どこーんって音がなった感じでした。

[ステージ4] ライバルとなるエース達をぶっちぎり 余裕の実力でチームの牽引を無駄にせず冷静に差し切ったログリッチェ
大本命ログリッチェの活躍。この前哨戦となるドーフィネでもほぼ同様のフィニッシュをしていて今大会強いなーと思いました。

[ステージ5] 無賃乗車上等 位置取りがすべてとでもいうのかワウト・ファンアールトがライバルスプリンターを成敗
ワウト・ファンアールトは、ダジャレですな。Woh!と。改めてですがトレインがない状態でピュアスプリント勝利しちゃうシクロクロスチャンピオンってなんだよって。

[ステージ6] 逃げ集団がバラバラと次々に脱落していくハイペースな1級山岳で余裕のアレクセイ・ルツェンコが一人旅フィニッシュ
逃げ切りが決まったルツェンコ。この日のルツェンコは強すぎた。逃げ勢の中では圧倒。たぶんエース対決とかしてもルツェンコ勝ったんじゃないかというぐらい強かった。

[ステージ7] 平坦なのにマイヨジョーヌ、マイヨヴェール争いが激化したハイペースステージはファンアールトが制圧
サガン率いるボーラががんがん引いてピュアスプリンターを置き去ったんですが、(よりネイティブに近い発音だと)ファナールトくんはそんなの関係ねぇでした。
ポガチャルは横風くらってで遅れたんですけどねー。

[ステージ8] ベロベロしながら追走を振り切って最初の逃げから全力で逃げ切ったナンズ・ピーターズ メイン集団もバチボコやりあう展開に
気合の逃げでしたね。ピーターズ。ポガチャルを容認したのは各チーム誤算だったんじゃないかなと。甘くみすぎ。ゆくゆくもってこれが最後まで尾をひいた気します。

[ステージ9] 連日メイン集団のバチボコタイムの口火を切ってたタデイ・ポガチャルがエース対決スプリントを制す
このへんからポガチャルの調子の良さ。爆発する感はありましたな。小集団スプリントでもしっかりうまさがあったな。

[ステージ10] やっと勝ったドゥクーニンクのエーススプリンター サム・ベネット 落車祭りのド平坦を制す
サム・ベネットはここで初勝利。グリーンジャージを取ったわけですが苦しかっただろうなー。

[ステージ11] 注目の4スプリンターが横一線で並ぶもキラー再び 突然の急加速するポケットロケット カレブ・ユアンが僅差で制す
言うこと無い。キラー2発目。4人のスプリンターが並んでゴールには圧巻。サガンはこじ開けた動きが痛恨の集団最後尾ゴールのペナルティになったのは痛かったなー。グリーンジャージはここで遠のいたと思います。

[ステージ12] チームメイトの協力を力に変えて、苦汁をなめた先日の惜敗を払拭 ヒルシの単独大逃げで大逆襲
今年の総合敢闘賞ヒルシが最も輝いたステージ。この以前にも逃げに乗ってて3回目の逃げにてやっと成就。追走集団に仕込まれたチームメイトがうまく追わせないようにしたのもあって念願の勝利でした。

[ステージ13] 落車などもあって不調の前哨戦王者ダニエル・マルティネスがボーラの2名を蹴散らして勝利 総合争いはベルナルが遅れる波乱
ダニエル・マルティネスの圧倒的不利状況でも突破する強さ。前哨戦ドーフィネ覇者の底力を見せつけました。そしてベルナルが失速したことにアゴあいたまんまになりました。

[ステージ14] 緑ジャージへの思惑が渦巻いた平坦ステージはチームサンウェブによる波状攻撃 第三の矢で放たれたクラウアンダーセンが勝利
クラウアナスン、クラゥアンセンみたいな呼び方でもあるようですが英語をカタカナで。ガイア・オルテガ・マッシュ的な感じで出てきたこの選手のタイミングをきちんと見れる強さ。

[ステージ15] 超級山岳でベルナル大失速 総合争いをスロベニアがワンツー ポガチャルが再び制す
ポガチャルが取ったんですが、そんなのよりベルナルの大失速というか全然駄目な感じでした。この次か次々ステージぐらいでベルナルはリタイアとなりました。
総合優勝のライバル勢が減ったということ自体が悲しいですね。もっと混沌としてたほうが面白いので。

[ステージ16] 後半の1級山岳の山頂で仕掛けてさながら個人TTで後続を振り切ったレナード・ケムナ 総合争いの上位陣は動かず
ケムナ逃げ切り。うまく間隙を抜いたなと。ケムナ自身も強かったんですが、ルツェンコの勝利は実力すごかったけど、ケムナの勝利はステージ適正とか他が脱落したというか。まぁケムナが強かったってことか。

[ステージ17] 激を超える超坂クイーンステージを制したのは表彰台候補脱落の報を受けての抜群のタイミングでアタックしたミゲル・アンヘル・ロペス
今まで見てきたレースの中でも最上級の坂だったんじゃないでしょうか。凶悪な坂でした。ミゲル・アンヘル・ロペスは個人TTでは差をつけられないタイプだから、この山でもっと差をつけないと勝てないという条件がきつすぎる。

[ステージ18] 目標が変わったチームイネオスの逃げきりランデブー クヴィアトコウスキー&カラパスが並んでフィニッシュ メイン集団は小競り合うものの差はつかず
今大会屈指のステージ。フィニッシュの美しさ。これは漫画の世界、ファンタジーの世界、ではなく、現実にも起こりうるのだという事実は小説より奇なり。二人並んで肩くんでのゴールはすごい。

[ステージ19] 緑ジャージのポイントを取り合うステージでタイミングはここしかないというカウンターアタック一発で仕留めたクラウアンダーセンが2勝目
クラウアンダーセンのまたもやタイミング絶妙のアタック。この人本当に加速するタイミングがうますぎる。

[ステージ20] アシスト勢の力も連日の試合運びもログリッチェの57秒リードも、全てを粉々に打ち砕いたポガチャル 乾坤一擲の大逆転 総合優勝へ
57秒リードで迎えたログリッチェの精一杯の走りを、結果2分弱ひっくりかえすスーパータイムトライアルでポガチャルが玉砕。全部ひっくり返したスーパー逆転劇。

[ステージ21] ラストのシャンゼリゼを制したのはグリーンジャージの意地 サム・ベネットが完勝 総合優勝はポガチャルで幕
ラストは意地のサム・ベネット。モルコフの会心のトレインでグリーンジャージ保持者としての意地のフィニッシュでした。

 

 

今年の総括は、ポガチャルの大逆転劇。これに尽きます。
ステージ19まで一生懸命運んできたタイム差、チームメイトの思い、エースのプライド、スタッフたちの祈り。それら全てを打ち砕く鉄槌。
打ち砕く側の爽快さよりも、そういった血を吐きながら積んできたものがなくなってしまう失墜感がとんでもなく突き刺さりました。

ポガチャルは21歳でツール・ド・フランスを制覇。このポガチャルが今後のレースシーンで燃え尽き症候群にならないかとか、まさかEPOとかの薬じゃないだろうなとか、本当によくないいろんな悪いことばかりを気にしてしまいます(もちろんそんな事実は20200925時点でありません。ただの杞憂です)。
もしそんなことになったら悲しいなと思う次第です。

そして破れたログリッチェの、まさに茫然自失という姿は涙を誘いました。つらい。
が、彼はブエルタ・ア・エスパーニャ制覇している選手ですし来年のツール・ド・フランスにリベンジがあるだろうと思います。
そしてベルナルくんも。是非復調して帰ってきてほしい。彼もある意味去年の成績があるから「ま、いっか」みたいに燃え尽き症候群になってたんじゃねーだろーなーとか思います。

 

また来年お会いしましょう。

 

(texted by 新堀 勝)